農産物品評会 最優秀賞に輝いた人たち

2013年11月の農業祭にあわせて 西宮市農産物品評会が行われた。
今年も30品目110点の出品数の中から 3点の最優秀賞が選ばれた。年の瀬も押し詰まった寒風の中で作業されていた、今年の最優秀賞3人の方にお話を伺って来た。

<最優秀賞>
兵庫県知事賞 伊勢隆治さん ホウレンソウ
西宮市長賞  多田正治さん  ネギ
西宮市議会議長賞 古塚雅章さん  コマツナ

①伊勢隆治さん(兵庫県知事賞  ホウレンソウ)

農業品評会
 農業学校を出てすぐに農業に従事された伊勢さんとは、すぐ隣に市民農園がある上大市の畑で出会った。

「今年は寒いですね~」と言う言葉で始まった取材はキクナの収穫の真っ最中。

今年の品評会には5点出して ホウレンソウが最優秀賞を取った。「出品されているのは、皆さんがそれぞれに吟味された物ですから、どれが選ばれてもおかしくはないですよ…」

品評会の期日にあわせて育てていても、その時の微妙な天候や気温差もあり、一番最高の時に合わせるのが難しいという。

特に、最近の異常気象ではこれまでの経験でもカバーしきれない事もある。
「その年の気候変化は、2月いっぱいの気温を2時間おきに測ってその平均値をグラフにすると、それがその年一年間の気温変化の目安になるという研究があります。きっちり測っているわけではないですが、体感として8割ぐらい当たっているように感じます。」
農業品評会 農業品評会

農業をしている喜びは、物を作る喜びだと語る伊勢さん。「例えば葉先まできれいで、長さも適正で、色艶も良く…というような自分の理想の作物ができた時は本当にうれしいです。」

例えば、今まさに収穫期に入る雑煮大根は、種を蒔ける時期がたった5日間。収穫期にあわせて、気候の変化も考えてその5日間の早めに蒔くのか、遅く蒔くのかを考えて蒔くのだとお聞きした。「農業とは土地を守るのではなく 技術の伝承をしていくことだと思っています。」
キクナの畝には トンネル上のビニールが掛けてあるが、今年は寒いから二重にしてある。昼夜の温度変化で葉先が痛みやすいので、気が抜けないそうだ。

 

②多田正治さん  (西宮市長賞 ネギ)

農業品評会
 今年は4~5品を出品された多田さんは、ネギで市長賞を受賞。

「実は ネギは手がかかるんです。虫もよく付きますし…」生育期間が長いネギは、畑を占有する期間が長いこともあり、広い面積の畑がないとネギはむつかしいのだとか…。



「ネギは連作をしないようにしているので、どう場所を変えていくかは年間のスケジュールの中で考えています。」

品評会に出したネギの播種は8月後半。残暑厳しい中、品評会に合わせてきれいな形に育てるのは大変だったようだ。「あの大雨の時には このあたりの畑も一帯がプールのようになって大変でした。」雨が止むやいなや、水抜き作業にかかったが、それでも助けられなかった作物も多かったと振り返る。

出荷する野菜を洗ったりする作業場には いつどこに何を蒔いたかという記録ノートが掛けてあった。それは、脱サラで今年から家業を継いでくれる息子さんの大事なバイブルにもなっている。
自宅用に植えてある野菜を別にすると 年間に作る野菜の品目はそう多くない。「ここのが美味しい。ここのがエエ…と言ってくれるお客さんを大切にしないといけないからね。」
IMG_6332 農業品評会

どんどん畑の廻りに住宅が迫ってきた今、昔とは当然農業のスタイルも変わって来たが、その年の天候に左右されるということでは昔も今も同じ。
消費者さんはわがままやからね…と、とても明るく笑いながらも、気まぐれな自然条件を懸命に経験で乗り越えていく後ろ姿は、きっと息子さんに受け継がれていくのだろう。

 

③古塚雅章さん (西宮市議会議長賞   コマツナ)

農業品評会
「私は 平成六年にUターンで帰って来ました。最初は親に働き手の頭数に入れてもらえてなかったです…」と振り返る。

お話を伺ったのは 中にコマツナが植わっているビニールハウスの前。



露地だと生育が遅くなるため、冬場の時期には4棟のハウスを使用している。コマツナを順番に出荷できるようにと考えて種を蒔く。加えて、出荷するタイミングに合わせて、ハウスの下の方を開閉することで温度調節をしたりもする。

そうして出荷する業者のコンテナのサイズに合わせて、野菜の大きさも調整していくと言う。スーパーや小売店で売られている野菜を値段のみで判断して高いの安いの…と言いながら買うだけの我が身がすこし恥ずかしくなった。

主に作っているのは4種類ほど。一般的に軟弱野菜と言われる葉物野菜である。強みを生かすためにも、品目は絞り込んでいいものを出荷する。「登録番号などをみて、リピーターになっていただけるとうれしいですね。」
農業品評会 農業品評会

自然相手のため、納得する野菜が今年はできたとしても、来年もできるとは限らない。そういう意味でも、毎年初心を忘れないようにしている、と謙虚。「このコマツナでも、その時の気候によって種を落とすピッチを替えたりします。厚く蒔く方が収穫は多くなりますが、風通しが悪くなって虫が付きやすかったり…。失敗も経験です。」

全く違う土地で、違う作物を作るとしたらどこで何を作りたいですか??などという無茶な質問にこんな答えが返ってきた。

「以前 NHKでレンコンの収穫を見たんですが、大変そうだけど一度やってみたいなと思いましたね。後は、フランスのボルドー地方のブドウ畑を一度見てみたいな~~。」

 

 

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