子どもたちが農作業に親しみ、農業に対する理解と認識を深めることを目的として西宮市が実施している「学童農園」事業。毎年取り組んでいる北六甲台小学校では5年生が体験学習として田植えと稲刈りを行なっている。
2025年10月15日、山口町で農業を営まれる岡さんの指導の下、北六甲台小学校5年生の皆さんの稲刈り体験が行われた。

「北六甲台小学校」の小さな札が立てられた田んぼ。岡さんは朝から稲木(いなき)を建て、準備をしていた。9時になると、生徒たちが到着。


「すぱっ、と一気に刈るのではなく、鎌をゆっくりギコギコと動かして、慎重に刈ってください。刈った後の稲は、大体これくらいの太さにまとめて縛ってください」と、引率の先生の脚を稲の束に見立ててひもで括って見せるなど、真剣な中にも笑いを交えた岡さんの説明。そのあと順次、田んぼに移動して稲刈りが始まった。


慣れない鎌を持って、稲を刈る。そして束ねて括って、稲木に掛けていく。春に自分たちが植えた田んぼで、作業が進む。また、秋を迎えた田んぼには、カエルやモグラ、昆虫などの生き物もいっぱい。それらを捕まえたり、横道に逸れつつも1時間ほどで稲は刈り尽くされた。

「いま何時かわかりますか。まだ10時過ぎです。これまで遅かったときは、11時を回った年もありました。これはみなさんどうですか。そう、優秀だということです」と、岡さんから褒められて喜ぶ生徒たち。岡さんの敷地で育った甘柿をそれぞれ4個ずつもらって、笑顔で学校に帰っていった。

田植えから稲刈りまで。岡さんの田んぼでの体験学習は、今年を最後に一区切り。今年は脱穀した後の藁を肥料にすることがないため、この先その藁を使った注連縄づくりなども計画されているようだ。

5月、慣れない水田で泥だらけになって植えた稲を、生徒たち自身が今回刈り取って束ねた。これから稲木で二週間乾燥したのち脱穀された玄米は、その後全て生徒に配られるのだという。自ら作った米を食べたという経験は、この先きっと得がたい想い出として残っていくだろう。
レポート:スタッフ

