農産物品評会(2019年11月2日)

今年も農業祭にあわせて 西宮市農産物品評会が行われた。
35品目、計113点の出品数の中から 3点の最優秀賞と10点の優秀賞、18点の奨励賞が選ばれた。

今年は、最優秀賞と優秀賞に加えて『西宮市都市農業推進協議会特別賞』がつくられ、名塩で農業をされている松原茂さんのスイートコーンが選ばれた。

農業祭の会場で、松原さんから少しお話を伺った。

「毎年、色々な作物でエントリーしています。こういう機会があるのはやはり励みになりますね。今年はお米とショウガで優秀賞、サツマイモで奨励賞をいただきました。」と松原さん

スイートコーンは、皮をはいだ時に見える細いひげ1本ずつが1粒の実につながっているそうで、最初の受粉の時にコーンの先まで熟すかどうかが決まってしまうのだという。

「水管理や肥料などで大きくしていきますが、先まで実が詰まるかどうかは、実は受粉の時が勝負なんです。」と松原さん

そんなたくさんの生産者さんたちが手塩にかけて育てた農産物が、年に一度の『農業祭』で手に入れることができる。

農業一筋 野菜農家の吉村光晴さん

親の後を継ぐように18歳からこの道に入りちょうど50年、昨年は黄綬褒章を受章された吉村さんを荒木町の畑に尋ねた。

一週間前の台風20号の風雨で、収穫時期だった小松菜がかなり被害を受け、収穫作業は汚くなった葉を取り除く作業もあるので、いつもより時間がかかるという。
自然とは仲良く付き合わないといけないが、やはり災害はできるだけ来てほしくないのが本音。次の21号台風の進路がまた気になる。

西宮市は葉物野菜(軟弱野菜)の産地。住みたい街NO1の西宮北口駅から徒歩圏内の荒木町あたりは、市内でも農地がかたまって残っているエリア。
そこで53アールの畑を持ち、葉物野菜や果菜類を作っている。
平成元年にこのあたりの区画整備が終わり、周りに住宅が建ち並び、縦横に走る舗装された道路に囲まれた畑が広がっている。いわゆる都市農業。

「都市農業は地域との共生の農業です。」という吉村さんからは、都市ならではの難しさも多いと教えていただいた。
狭い面積から安定収入を得るには、年間15種類ほどの野菜の収穫時期を考え、収穫が途切れないように回転させる。その作物の収穫時の労力を見越して、順番に栽培できるように種まきをしていく。

近年は長男ご夫妻が跡を継いで、ハウストマトや直売所も始めた。野菜の出荷先は市場や地元のスーパーの地場産コーナー、そして直売所など。

荒木町辺りは、武庫川や六甲の伏流水と武庫川の氾濫でできた砂地で野菜作りに適した土地。小屋の中には地下20mから汲みだす井戸があり、そこから畑につながっている。
「農業はね、最低二人は必要なんです。夫婦が元気でないとね・・・」
この日は小松菜の出荷作業で忙しい傍らで、お話をお聞きした。

※今回、取材に同行してくれた若者の感想はこちらから➡

農産物品評会 最優秀賞に輝いた人たち2013

2013年11月の農業祭にあわせて 西宮市農産物品評会が行われた。
今年も30品目110点の出品数の中から 3点の最優秀賞が選ばれた。12月の寒風の中で作業されていた、今年の最優秀賞3人の方にお話を伺って来た。

<最優秀賞>
兵庫県知事賞 伊勢隆治さん ホウレンソウ
西宮市長賞  多田正治さん  ネギ
西宮市議会議長賞 古塚雅章さん  コマツナ

①伊勢隆治さん(兵庫県知事賞 ホウレンソウ)
今年の品評会には5点出して ホウレンソウが最優秀賞を取った。「出品されているのは、皆さんがそれぞれに吟味された物ですから、どれが選ばれてもおかしくはないですよ…」

品評会の期日にあわせて育てていても、その時の微妙な天候や気温差もあり、一番最高の時に合わせるのが難しいという。

特に、最近の異常気象ではこれまでの経験でもカバーしきれない事もある。「その年の気候変化は、2月いっぱいの気温を2時間おきに測ってその平均値をグラフにすると、それがその年一年間の気温変化の目安になるという研究があります。きっちり測っているわけではないですが、体感として8割ぐらい当たっているように感じます。」

農業をしている喜びは、物を作る喜びだと語る伊勢さん。「例えば葉先まできれいで、長さも適正で、色艶も良く…というような自分の理想の作物ができた時は本当にうれしいです。」
例えば、今まさに収穫期に入る雑煮大根は、種を蒔ける時期がたった5日間。収穫期にあわせて、気候の変化も考えてその5日間の早めに蒔くのか、遅く蒔くのかを考えて蒔くのだとお聞きした。「農業とは土地を守るのではなく 技術の伝承をしていくことだと思っています。」
キクナの畝には トンネル上のビニールが掛けてあるが、今年は寒いから二重にしてある。昼夜の温度変化で葉先が痛みやすいので、気が抜けないそうだ。

 

②多田正治さん(西宮市長賞 ネギ)

今年は4~5品を出品された多田さんは、ネギで市長賞を受賞。「実は ネギは手がかかるんです。虫もよく付きますし…」生育期間が長いネギは、畑を占有する期間が長いこともあり、広い面積の畑がないとネギはむつかしいのだとか…。
「ネギは連作をしないようにしているので、どう場所を変えていくかは年間のスケジュールの中で考えています。」

品評会に出したネギの播種は8月後半。残暑厳しい中、品評会に合わせてきれいな形に育てるのは大変だったようだ。「あの大雨の時には このあたりの畑も一帯がプールのようになって大変でした。」雨が止むやいなや、水抜き作業にかかったが、それでも助けられなかった作物も多かったと振り返る。

出荷する野菜を洗ったりする作業場には いつどこに何を蒔いたかという記録ノートが掛けてあった。それは、脱サラで今年から家業を継いでくれる息子さんの大事なバイブルにもなっている。
自宅用に植えてある野菜を別にすると 年間に作る野菜の品目はそう多くない。「ここのが美味しい。ここのがエエ…と言ってくれるお客さんを大切にしないといけないからね。」

どんどん畑の廻りに住宅が迫ってきた今、昔とは当然農業のスタイルも変わって来たが、その年の天候に左右されるということでは昔も今も同じ。
消費者さんはわがままやからね…と、とても明るく笑いながらも、気まぐれな自然条件を懸命に経験で乗り越えていく後ろ姿は、きっと息子さんに受け継がれていくのだろう。

③古塚雅章さん(西宮市議会議長賞 コマツナ)

「私は 平成六年にUターンで帰って来ました。最初は親に働き手の頭数に入れてもらえてなかったです…」と振り返る。お話を伺ったのは 中にコマツナが植わっているビニールハウスの前。

露地だと生育が遅くなるため、冬場の時期には4棟のハウスを使用している。コマツナを順番に出荷できるようにと考えて種を蒔く。加えて、出荷するタイミングに合わせて、ハウスの下の方を開閉することで温度調節をしたりもする。

そうして出荷する業者のコンテナのサイズに合わせて、野菜の大きさも調整していくと言う。スーパーや小売店で売られている野菜を値段のみで判断して高いの安いの…と言いながら買うだけの我が身がすこし恥ずかしくなった。

主に作っているのは4種類ほど。一般的に軟弱野菜と言われる葉物野菜である。強みを生かすためにも、品目は絞り込んでいいものを出荷する。「登録番号などをみて、リピーターになっていただけるとうれしいですね。」

自然相手のため、納得する野菜が今年はできたとしても、来年もできるとは限らない。そういう意味でも、毎年初心を忘れないようにしている、と謙虚。「このコマツナでも、その時の気候によって種を落とすピッチを替えたりします。厚く蒔く方が収穫は多くなりますが、風通しが悪くなって虫が付きやすかったり…。失敗も経験です。」

全く違う土地で、違う作物を作るとしたらどこで何を作りたいですか??などという無茶な質問にこんな答えが返ってきた。「以前 NHKでレンコンの収穫を見たんですが、大変そうだけど一度やってみたいなと思いましたね。後は、フランスのボルドー地方のブドウ畑を一度見てみたいな~~。」

柏堂の藤井ファーム

北山緑化植物園の道を挟んで反対側の方に広がる柏堂の住宅地。

今ではすっかり住宅地となった柏堂で
35年前から無農薬・有機栽培にこだわって農業をされている
藤井健太郎さんの畑にお邪魔して来た。

「ガーデニングにもあまり興味はなかったですし、
野菜はスーパーで買うもの・・・というイメージでしたね 。」
と笑いながらお話しして下さったのは、藤井さん家に嫁いだ聖子さん。

「私が本当に農業を身近に考えるようになったのは、この子が生まれてからですね。」
傍らにいる娘さんに目をやる。
お肉より、野菜大好き・・・でも虫は嫌い!!というかわいい女の子。

35年前に自然農法をするようになってからは、殆ど個人のお宅に宅配のかたちで来たという。
最近は、聖子さんの繋がりで若い層のお得意さんも増えて来た。

「 こんなに濃い味の野菜は初めて!!そんな言葉を聞くと本当にうれしいですね。」
山の上のきれいな空気と丹精込めて作った土と山からのきれいな水に
きっと支えられているんだろう。

山に近いから猪の被害も多いらしい。
「近頃はヌートリアもくるようですね。一度トウモロコシが全滅した事もあるんです。
自然相手ですから、本当になにが起こるか分からないですね。」

お米甲子園2010で優勝した名塩の松原茂さん

兵庫県で『お米甲子園』という、兵庫のおいしいお米のコンテストが開催されている。
7回目となった「お米甲子園2010~兵庫のおいしいお米コンテスト~」で見事優勝したのは、西宮市名塩で農業を営む松原茂さん。(このイベントは2010年が最後となりました。)

お米甲子園と名づけられたコンテストは県内各地からおいしいお米を集め、その味を競うもの。昨年は県内362点(一昨年は346点)の中から選ばれて残ったよりすぐりのお米16点の食べ比べ審査が行われ、松原さんのヒノヒカリが選ばれた。
参加した品種別内訳 : コシヒカリ 206点、キヌヒカリ 67点、ヒノヒカリ 89点

〜〜2011年4月 松原さんのご自宅でお話をお聞きしてきました〜〜

<農業一筋でこられたんですか??>

実はサラリーマンでした。自動車メーカーに勤めていました。長男ですからいずれは・・・と覚悟はしていましたが、もう少し勤めたかったですね。(笑)

自分の人生設計より5年早かったのですが、今から7年ほど前に親父の跡を継ぎました。今は親のやっていたことを受け継ぎながら試行錯誤しています。

<お米甲子園に出ようと思われたきっかけは??>

サラリーマン時代と違って、農業というのは人と接する機会が大幅に少なくなってしまします。ですから4年前にこのコンテストを知った時、人との交流が出来るいい機会でもあり、また自己啓発も兼ねてチャレンジしました。

最初は、コシヒカリで応募していたんですが、昨年はヒノヒカリにしました。
こんな賞をいただけてうれしいですね。やはり励みになります。今年もがんばりますよ!!

<お米作りが中心ですか??銘柄は??>

兵庫県では三ヒカリといってコシヒカリ・ヒノヒカリ・キヌヒカリが主に作られていますね。私も今は、コシヒカリとヒノヒカリ、そしてもち米を作っています。

うちはお米が中心ですが、JAさんからの依頼などもあって、野菜も直売所に出荷しています。最近は、ニンニクも作り始めました。

大市(おいち)のなす・・・というナスがかつては西宮の特産でしたが、なかなか作りにくいので手がける人が減ってます。今年も、本数は少ないですが栽培します。

<松原さんのお米作りへの想いを教えてください>

お米作りも、収穫量に重点を置くのか、食味を重視するのかでも、育て方は違ってきますね。私は後者でしょう。
それぞれ田んぼの条件は違いますが、基本的には粗食で、稲をのびのび育てるようにしています。

<農業は生き物相手ですから、一年中お忙しいとは思いますが・・・>

そうですね~、少し余裕があるのは正月過ぎから3月半ばごろまでですね。早ければ5月の中頃から田植えが始まりますから、その準備もあり、今から忙しくなります(笑)

最近は、気温が高く昼夜の寒暖の差が少なくなってきたので、お米も野菜も品種選びと栽培管理もより難しくなってきたように思いますね。

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この後、松原さんの田んぼや畑を見せていただいた。「このあたりの風景が、これからどんどん変わって行きます。きれいな景色になりますよ!!」と話す松原さんのお顔がとてもうれしそうだった。